前回まででアニメーションパートは完成しましたので,今回はマテリアルの設定をしていきます.
テキストベースのマテリアル
テキストベース用のマテリアルを作成します.まずは「マテリアルマネージャ」を開き(Shift + F2),Cinema 4Dの標準マテリアルを追加します.マテリアルマネージャの空欄をダブルクリックしても良いです.


このマテリアルはツルツルしたプラスチックのような設定にしていきたいと思います.(好きに設定していってもらっても構いません)
「カラー」チャンネルのカラーは明るくて活発なイメージで黄色に設定しました.「反射」チャンネルを開き,
「追加」→「Beckmann」
を選択し,反射レイヤーを追加します.

「レイヤーフレネル」を
「フレネル」…「誘電体」
「プリセット」…「PET」
にします.これで磨かれたプラスチックのような質感になります.この設定はいわゆるプラスチックや塗装といった質感の基本ですのでしっかり覚えておきましょう.もし粗い反射にしたい場合は,「表面粗さ」の割合を上げていきます.

フレネルとは光の反射する現象の事で,それが起きるのは物質の光の屈折率の違いによります.プラスチックなどの一般的な素材は屈折率は1.6前後です.水は「1.3333…」です.金属の場合は「フレネル」を「導体」にすることで自動的に設定できますが,「誘電体」で屈折率を100などと大きな値にすると金属のようになります.興味があれば「屈折率 フレネル」といったキーワードで検索するとより具体的にフレネル現象について調べることが出来ると思います.
マテリアルの名前を「プラスチック」として「テキストベース」に割り当てます.マテリアルの名前の決め方に特にルールがあるわけではありません.これは人によって全く違う付け方になると思います.例えばマテリアルの特長を示す名前にするのであれば「プラスチック 鏡面 黄色」や「Plastic Polished Yellow」などが思いつきそうです.または適用する部位に合わせた名前にするのであれば「テキストベース」などとなりそうです.前者の場合はマテリアルの名前から特長をイメージしやすく,後者の場合は使う場所がイメージしやすい,といった感じです.アセットブラウザに登録する場合は前者の方が良いでしょう.その方がマテリアルの検索がしやすいと思います.シーンに追加した後に部位名に変更したりすると良いかもしれません.
いずれにしても,命名は大事な要素なので各自が運用しやすいように色々と試して決めていくと良いと思います.
私個人としては,「Plastic Polished Yellow」というように質感の特長で名前を付けています.オブジェクト名も含めて半角英数字のみで付けるようにしています.チュートリアルでは分かりやすさ優先で日本語を使っていますが,実務では日本語はマルチバイトなので使っていません.これにはシーンを色々なツールに渡したりするから,という理由からなので,それが無い場合は日本語で付けても良いでしょう.
話がそれました.作成したマテリアルをテキストベースの親グループに割り当てます.

テキストのマテリアル
「押し出し Base」用のマテリアル
次はテキスト側のマテリアルを作成します.先ほど作ったマテリアルを複製します.マテリアルマネージャ上でマテリアルを「Ctrl + ドラッグ」またはコピーペースト(Ctrl + C,Ctrl + V)で複製できます.
「カラー」チャンネルのカラーをスカイブルーのような色に変えます.名前を「Plastic Polished Blue」に変更し,それを「テキスト」グループ内の「押し出し Base」に割り当てます.

「押し出し Thin」用のマテリアル
新規標準マテリアルを追加します.こちらはガラスの質感になるので名前を「Glass」に変更します.シンプルなガラスの場合は「透過」チャンネルを「オン」にするだけで完成します.カラーチャンネルは不要ですが,「透過」チャンネルの「透明度」が「100%」である限りカラーは見えなくなるので特に問題はありません.「透過率」を下げると「カラー」チャンネルが見えてきます.

ガラスは透過チャンネルの中で「屈折率」の設定を行います.「透過」チャンネルを「オン」にすると「反射」チャンネル内に自動的に「透過」レイヤーが作成されることになります.この透過レイヤーにはフレネル設定項目が無く,フレネルは「透過」チャンネル内の数値が使用されます.

シンプルなガラスはこれで完成です.色付きガラスにしたい場合は,「透過」チャンネルの「カラー」を変更します.
ガラスの注意点としては,屈折率があるため形状に厚みが必要である点です.ガラスに入射した光は屈折して曲がります.厚みのないガラスの場合は光が曲がりっぱなしということになり,向こう側に見えるものはガラスの中にあるような状態です.現実的にはガラスは厚みがあり,光は少なくとも2回屈折して向こう側の景色を見ていることになるので,きちんと厚みを付ける必要があります.

簡略化すると次のような状態です.厚みが無い場合は屈折しっぱなしの状態ですから,見える場所の結果が変わってきます.

かといって,CGの場合は必ずしも厚みが必要というわけでもありません.例えば薄いフィルムのようなものは屈折率を「1」とすることで屈折しないようにしてあげればいいわけです.さらに屈折計算はシーンのよっては非常にレンダリング負荷がかかる場合があります.レンダリングコストを抑えたい場合にもこの方法を用いることがあります.例えば窓ガラスのような形状で厚みのないガラスに屈折率「1」の透過を使用するケースもあります.リアルな屈折像や反射を得たい場合には厚みがあった方が良いですが,レンダリング時間などの「事情」によってはフェイクガラスを使ったりしますね.
それでは「Glass」マテリアルを「押し出し Thin」グループに割り当てます.

シンプルではありますが,これでマテリアルは完成とします.
次はライティング工程です.