改めてこのサイトを立ち上げようと思ったときに,Cinema 4Dに関する情報を発信していくにあたり,まずはCinema 4Dの良さって一体なんだろう...と改めて考えて整理してみようと思いました.
私がCinema 4Dを初めて触ったのはR9というバージョンでした.本記事執筆時2022年4月ではCinema 4DのバージョンはR25ですから,ずいぶん長い年月が経過しました.
最近ではHoudiniやBlenderや他のソフトウェアも用途によっては当然使うことはありますが,メインツールはCinema 4Dを使っています.他のDCCツールもそれぞれ強みがあって用途に応じてはCinema 4Dは向いてないな…ということも当然出てきます.それを加味した上で,なぜCinema 4Dを使い続けているのかを”Cinema 4Dの良さ”という点から6つ絞って見ていきます.※1ユーザーとしての個人的な意見だということはあらかじめ断っておきます.
インターフェイスの設計が分かりやすい
Cinema 4Dの良さの一つとして確実に上げるべきはインターフェイスの設計が分かりやすいという点です.ここに関しては個人的な意見に加えてこれまでいろいろなCinema 4Dユーザーと接してきた中でかなりの確率で同意してもらえる気はしています.使いやすさ,覚えやすさという点において非常に強力な要素の一つとして挙げても良いだろうと思っています.
今でこそ当たり前に使っていますが,はじめてCinema 4Dを触ったときにはその扱いやすさに感動したものです.
私が使い始めた当時のR9の頃と現在R25(RはCinema 4Dでのバージョンにあたります)で比較してもほぼ同じ操作感で操作ができます.もっと古参のユーザーさんのお話を伺うと,R5とかその位の頃よりすでに今の操作形態が確立されていたそうなので,初期の頃から一貫性のあるインターフェイスであったと想像できます.
良さである反面,あまり進化してないのかな?とも捉えることも出来ますし,大きく変更する必要性も無かった?とも言えますし,難しい所ではあります.
長い年月の開発によってソフトの機能自体は相当複雑になりましたけれど,基本的な部分は大きく変化していないため,扱いやすさを損なう様なことは感じませんでした.
実際,開発元のMaxonはインターフェイスにはかなりの自信を持っていることがうかがえます.
分かりやすい反面のデメリットは少しあるのですが,それはまたの機会にでも.
MoGraphという機能が強い & スピード感
Cinema 4Dはモーショングラフィックスに強いイメージがあるかと思いますが,これはMoGraphという機能のおかげと言っても過言ではないでしょう.MoGraphは沢山のオブジェクトを効率よく動かしたり配置しやすい機能です.沢山動かすという点においては,いかに簡単な操作でそれを行うかがよく考えられているなと感心します.また,3DCGの知識がほぼなくても気持ちいい感じで動く3Dモーショングラフィックスが割と手早く作れてしまいます.
映画やアニメで良く見るモニターグラフィックスの表現は大部分がCinema 4Dで作成されたものではないかと思うほど,作例でよく見かけます.タイトルシーケンスでもCinema 4DとMoGraphが活用された事例をよく見かけます.元々MoGraph自体が3DCGの知識があまりないアーティストでも使いやすいように設計された経緯があるため,基本的な扱いは簡単です.また,しっかりと3DCGの知識がある熟練者が使えばより奥深いこともできるようになってます.
沢山のオブジェクトのアニメーションを非常に少ないキーフレームで作成できるので,タイミングの調整がスピーディに行える点は触ってみるとよく分かるのではないでしょうか.
また,配置用の機能としても強力なので,静止画用途にもしっかり使えます.実際に私も映像,静止画に関わらずほぼ確実に使用する機能です.
Cinema 4Dユーザーなら職種に関わらず覚えておいて必ず損はしない強力な機能です.この機能のおかげで作業の早い段階からある程度の絵が作れてくるので,あとはイメージのどんどん近づける作業に集中できます.
こちらもMaxonのサイトでMoGraphが強調されて紹介されているあたりからその機能がウリであることが伝わります.
AfterEffectsとの連携
Cinema 4DファイルはAfterEffectsで直接読み込むことができ,そのままAfterEffects上でレンダリングが可能です.※ただし,標準レンダラに限ります.
これだけだと特にメリット感じにくいですが,Cinema 4D側で設定したマルチパス画像(Zデプスなど)を抽出できます.Cinema 4Dからカメラやライト,3D平面をAfterEffectsに読み込ませることができるため,それらを組み合わせてエフェクトを組み立てることが可能です.Cinema 4Dファイルと同期しているため編集結果が即座にAfterEffectsに反映されます.
重たいシーンファイルではオススメしないのですが,Cinema 4Dカメラやライトが欲しいという時に使うことがあります.または逆にAfterEffectsからCinema 4Dにカメラやシェイプレイヤーを持っていくことも可能ですので,カメラトラッキングしたカメラを使って実写合成に活用するといった使い方も結構簡単にできてしまいます.
ゲームエンジンとの連携
上記のCinewareはAfterEffectsに限ったことではなく,Unreal Eingine,Unityにも対応しており,Cinema 4Dのシーンファイルを中間ファイルなしで直接インポートできます.
昨今の状況を鑑みると,ゲームエンジンの需要はかなり高くなってきており,このあたりへの対応は良いのではないかと思っています.Cinema 4Dのモーショングラフィック的なアニメーションをゲームエンジンに持っていったりすることも出来ますので,上手く使うと作業効率はかなり上がるのではないかなと感じています.マテリアルの再現性やサードパーティレンダラを使っている問題はありますが…
レンダラの選択肢は幅広く
Cinema 4Dにも標準レンダラが搭載されていますから,それを使ってレンダリングすることも出来ますし,サードパーティのレンダラも他のDCCツール同様に選択肢は非常に多くなっています.
筆者がメインとして使っているのはRedshiftですが,V-Ray5の時もありますし,場合によりOctaneを使うこともあります.ArnoldやCoronaといった主要なレンダラも問題なく使えます.表現内容や要件に応じて臨機応変にレンダラを切り替え可能である点はかなりのメリットだと思います.
対応サードパーティレンダラは沢山あります
- Redshift
- V-Ray
- Octane Render
- Corona Renderer
- U-Render
- Cycles4D
- Indigo Renderer
- Maxwell Render
- Thea Render
- などなど
標準レンダラはどうかといえば,グローバルイルミネーション(間接照明)を使うようなシーンでは少し遅い印象はありますが,しっかりした絵は出せますし,TeamRenderで複数台レンダリングもできますので,表現によっては普通に使っています.標準レンダラの方が表現しやすい機能もあったりします.最近はサードパーティレンダラを使うユーザーが多い印象があり,標準レンダラの情報はあまり見かけなくなってしまいましたが,ちゃんと使うとかなり多機能であることが分かります.
他のDCCツールとの連携
一般的な3Dデータフォーマットの入出力には対応しています.
私はBlender,Houdini,Autodeskのツールを使用することも少なくありません.メインツールはCinema 4Dとは言うものの,どうしても他ツールの方が効率が良い場合もあるものです.そのような場合はCinema 4Dからそれらのツールへデータを渡したり,または逆のことをすることもあります.そのような場合でもfbx,almebicなどの中間ファイルの入出力で受け渡しを行うことができます.
usdzやGLTFでの書き出しもサポートしているのでwebGL等に活用することも可能です.
CADデータのフォーマットをインポートすることもできます.
とはいえ,常に完璧にデータのインポート,エクスポートが出来るかと言えばそうでもなく,上手くいかないときもあるものです.そういった時は他のDCCツールに頼ることもあります.
私が普段Cinema 4Dを使ってきた中で,これは良いなと思える点を挙げてみました.他にも細かい所を上げると多くなるのでこの辺で.
最後まで読んでいただきありがとうございます.