つくって覚える第6回はMoGraphとダイナミクスを組み合わせたモーショングラフィックスをつくっていきます.
第6回では以下のようなアニメーションを作れるようになります.また,MoGraphを使って,実用的な領域へ踏み込みましょう!
※つくって覚えるシリーズは,全くの初心者の方を対象に内容を書いていきますので,じっくり読みながら進めることができるように,一つ一つの操作を丁寧に書くことを心掛けています.
この記事の内容は動画の12分までの内容が含まれます.
使用するCinema 4Dのバージョンは2023です.
プロジェクト設定
新規プロジェクトを作成したら,「プロジェクト設定」(Ctrl + D)を開き,
「プロジェクトスケール」…「cm:センチメートル」
「時間最大」…「200F」
とします.
プロジェクトスケールはmmで進めることも出来ますが,ダイナミクスのように大きさが計算結果に関わる場合はパラメータが同じ数値でも挙動が変わるので気を付けます.
クローナーを使って立方体をシーンに並べる
まずは立方体を地面に見立ててクローナーで並べていきます.立方体アイコンからシーンに立方体を追加します.
立方体を選択し,「オブジェクト」タブを開き
「サイズ」…「50㎝」
「フィレット」…「オン」
「フィレットの半径」…「3㎝」
「フィレットの分割数」…「3㎝」
とし,50㎝角にします.
続いて,立方体を選択した状態で,Altキーを押しながら「クローナー」を作成します.Altキーを押しながらオブジェクトを作成すると,選択していたオブジェクトの親になります.つまり,クローナーを作成すると同時に立方体を子にすることができます.
クローナーはMoGraphの最も基本的なオブジェクトで,子オブジェクトを複製する機能を持ちます.複製されたそれぞれをクローンと呼びます.
クローナーを選択し,複製モードと複製数を変えます.
「モード」…「グリッド」
「複製数」…「30, 1, 30」
「モード」…「ステップごと」
「サイズ」…「50cm, 200cm, 50cm」 ※Y方向は複製数1のため変更の必要はありません
X,Z方向にそれぞれ30個ずつ50cmで間隔立方体を複製しました.もしここでエディタの操作が重たいなと感じたら15個程度に減らしてみましょう.PCのスペックによっては処理が追いつかなくことがあります.それでも重いなら,立方体のフィレットをオフにするなどして工夫をする必要があります.
クローナーに簡易エフェクタを適用してアニメーションを作成する
ここからクローナーにエフェクタを適用してベースとなるアニメーションを作ります.
クローナーを選択した状態で「簡易」エフェクタをシーンに追加します.クローナーを選択した状態でエフェクタを新規作成すると,選択していたクローナーに自動的にエフェクタが適用されます.簡易エフェクタが適用されると,すべてのクローンがY方向に100㎝移動します.
手動で適用する場合は,エフェクタを作成後,クローナーの「エフェクタ」タブにドラッグ&ドロップすることもできます.すでに適用済みのエフェクタを個別にオンオフしたり,適用されているエフェクタを削除する時も「エフェクタ
」タブで行うことができます.
クローナーに簡易エフェクタが適用されると,クローンの位置.Yが100㎝上昇します.これは簡易エフェクタを通してクローンに位置Yを100㎝移動しろ,という命令が伝わっているためです.
ランダムフィールドで立方体のアニメーションをつくる
まずは立方体をランダムに上下移動させつづけるアニメーションを作ります.簡易エフェクタの「フィールド」タブを開き,「ランダムフィールド」を追加します.
ランダムフィールドは文字通りフィールド効果をランダムにする効果があり,簡易エフェクタの効果がランダムになります.
ランダムフィールドを選択し,パラメータを調整します.
「ランダムフィールドレイヤの不透明度」…「20%」
「スケール」…「500%」
「アニメーション速度」…「200%」
にします.
ランダムフィールドの不透明度を20%にしてフィールド自体の効果を弱めています.アニメーション速度を0以上にすると再生させるとノイズアニメーション効果により簡易エフェクタ効果がアニメーションすることになります.
ランダムフィールドの名前を「ランダムフィールド_Pos」に変更しておきます.次の工程で別のランダムフィールドを作るので,名前で差別化しておきます.
ランダムエフェクタでマテリアルのカラーを変える
それでは,ランダムフィールドをもう一つ作成しましょう.こちらはカラーをランダムにするためのフィールドとして利用します.
こちらのランダムフィールドはカラーを付けるために使用するため,
フィールド効果のアイコンクリックしてカラーのみ「オン」にします.
「モード」…「ランダム」
にして,各クローンのカラーをランダムにします.
このままではカラーが完全にランダムなので,「カラーリマップ」を使って調整します.「カラーリマップ」タブを開き,
「カラーモード」…「グラデーション」
にします.
「グラデーション」の設定は好みで調整してみてください.カラーノットはバー上でCtrlクリックして追加できます.削除はノットを選択してDeleteキーです.
このようにMoGraphのクローンに対してフィールドでカラーを付けることができます.カラー用のランダムフィールドは名前を「ランダムフィールド_Col」などと変更して役割を明確にしていおきます.
マテリアルにエフェクタのカラーを渡す
フィールドで付けたカラーをマテリアルを通して利用できるようにしていきます.立方体用に新規標準マテリアルを作成し,立方体に割り当てます.すると,フィールドで設定したカラーがマテリアルで上書きされてしまいます.
クローンにフィールドで設定したカラーをマテリアルから呼び出すためには,MoGraphカラーシェーダを使います.「カラーチャンネル」のカラーに「MoGraph」→「カラーシェーダ」を設定します.
カラーシェーダはエフェクタやフィールドを介してクローンに設定したカラーを抽出します.このカラーは一意ではないのでサムネイルは真っ黒になります.そしてこのマテリアルをクローンに割り当てた場合,エフェクタやフィールドカラーをマテリアルを介して割り当てられます.
カラーシェーダはクローン以外のオブジェクトに設定しても効果がありません.必ず,クローンに対して割り当てるようにします.
MoGraphカラーシェーダはテクスチャスロットから呼び出せるので,カラーチャンネル以外のテクスチャスロットからも呼び出せます.発光や反射,アルファなど様々なチャンネルでエフェクタやフィールドのカラーを呼び出せるのです.このMoGraphカラーシェーダの仕組みはUI上ではいまいち把握しにくいのですが,MoGraphを使う上で非常に強力で重要な仕組みです.キーフレームなしにマテリアルをコントロールできるようになります.
これで簡易エフェクタでランダムに上下するアニメーションと各クローンに異なるカラーを適用できました。
最後にシーンのオブジェクトに適切な名前を付けて次回に備えます.
今回はここまでです.いかがだったでしょうか.今回はMoGraphカラーシェーダというとても重要な機能を紹介しました.クローナーとエフェクタによるマテリアルアニメーションに強力な機能なので覚えておくと便利です.
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次回はダイナミクスアニメーションを作っていきます.