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作って覚える 基礎チュートリアル7

第7回目はいよいよ最終回です.最後はカメラの設定をして本番レンダリングまでを紹介していきます.

目次

レンダリング用のカメラを作成する

カメラの追加と設定

このシーンにはまだカメラがないので(操作用のカメラはデフォルトカメラ)レンダリング用に新しくカメラを作成します.カメラアイコンをクリックしてカメラを追加します.

カメラをシーンに追加する

カメラオブジェクトを追加すると,現在の視点位置にカメラが作成されます.カメラの座標等を変更するので,カメラを選択し,
「P.X」…「300㎝」
「P.Y」…「835㎝」
「P.Z」…「-435㎝」
「R.H」…「30°」
「R.P」…「-30°」
「R.B」…「0°」

とします.さらに「オブジェクト」タブを開き,カメラの焦点距離を変更します.
「焦点距離」…「100㎝」
とします.焦点距離はプリセットからも選択できます.これはレンズの焦点距離ですので,100㎝は望遠よりのレンズという事になります.実際のカメラと同じ知識が利用できるので,ぜひカメラに関する知識を勉強することをおすすめします.非常に重要な要素です.

カメラの位置,角度,レンズ設定を変更する

被写界深度用の設定をする

それではこのカメラからの視点に変更します.オブジェクトマネージャでカメラのアイコンをクリックするか,エディタメニューの「カメラ」→「使用カメラ」→「カメラ」(作成したカメラ)から変更できます.

カメラを切り替える

この状態でも普通にカメラ操作できるので,自分の気に入ったカメラ位置や角度,レンズ設定などをしてみてください.

この状態でカメラを調整しても良い

カメラをロックする

レンダリングする位置が決まったら,不用意にカメラを動かせないようにカメラ自体をロックします.カメラを選択して,「タグ」メニュー→「リギングタグ」→「ロック」タグをカメラに割り当てます.これでカメラの位置や角度は固定され,移動や回転ができなくなります.再度調整したい場合はロックタグを削除したり,無効化して操作してください.

カメラにロックタグをつけてロックする
編集したい場合はロックを「なし」にするか削除する

被写界深度用にフォーカス距離を合わせておく

今回はカメラの被写界深度用にフォーカス距離を設定しておきます.被写界深度はピントの合っていないところをぼかす機能でカメラ撮影に慣れている方であればどういったものかはわかると思います.3DCGでも被写界深度を使うことができますが,設定をしなければシーン全体はくっきりレンダリングされます.フォトリアル系ではよく使われますが,3DCGのレンダリング時にボカす方法やPhotoshopやAfterEffectsでコンポジット時にボカす方法もあります.今回はレンダリング時にボカすようにします.カメラを選択し,「オブジェクト」タブを開き,「焦点オブジェクト」の欄に車オブジェクトをドラッグ&ドロップして登録します.この場合は必ずそのオブジェクトの座標位置にピントが合うようになります.もちろん「フォーカス距離」を手動で調整してもらっても大丈夫です.どこにピントが合っているかはエディタ上のカメラオブジェクトからも確認,または調整もできます.

ピントを合わせておく

F値(絞り開放)を調整する

被写界深度も現実のカメラの知識が利用できます.少し乱暴な説明になりますがF値(絞り値)を小さくすればよりボケ幅が大きく,F値を大きくすればあまりボケなくなります.カメラの「フィジカル」タブを開き,
「F値」…「3」
に設定します.レンダリングしながら確認して好みに合わせていくとよいでしょう.

「F値」を調整する

レンダリング設定

次はレンダリング設定を見ていきます.実際の作業では最後にする必要はなく,作業中の都度調整することになります.まずは
「レンダラー」…「フィジカル」
に変更します.「フィジカル」にする理由は「Cinema 4D for Beginners Part 5 レンダリングについてちら」でも少し書きましたが,それとは別に「被写界深度」も使用するためです.

まずフィジカルレンダラーにすることでカメラのフィジカルタブのパラメータが有効になります.前項でピントの設定をしてもこれがオフの場合はボケません.

標準レンダラーの場合は被写界深度の計算方法も設定方法も異なるので注意が必要です.フィジカルレンダラーは3Dシーンをより正しく計算すして被写界深度を計算するため,リアルで自然なボケ味を出すことができます.少しレンダリング時間が延びるので,時間がかかりすぎる場合は未設定のままでかまいません.

レンダラーを「フィジカル」にして「被写界深度」を「オン」にする

レンダリングして被写界深度を確認してみましょう.車にピントが合って,手前と奥がボケていればOKです.

被写界深度を確認する

フィジカルレンダラーの品質設定

フィジカルレンダラーの全体的な品質は「サンプリング品質」で調整できます.デフォルトの設定は「低」になっていますが,最終レンダリングとしても使える程度には綺麗なので,今回はデフォルトのまま使用します.

被写界深度やモーションブラーなどでより大きなボケ表現を使う場合にはデフォルトでやや物足りないケースが出てくると思います.このような場合にはサンプリング設定を少し上げてあげるとよいでしょう.「サンプリング品質」は「プリセット」から「プレビュー」,「低」,「中」,「高」,「自動」,「カスタム」から選べます.しかし「高」はレンダリング時間が長くなりすぎるのであまりオススメはしないです.

フィジカルレンダラーの全体的な品質はサンプリング品質で調整できる

本番レンダリングをする前に確認!

出力

解像度を確認します.今回はデフォルトの1280 x 720pxです.一つ注意が必要で,解像度を変更してアスペクト比が変わるとカメラに映る領域も変わってきます.アスペクト比が変わる変更をした場合は再度カメラのチェックをしておきましょう.

アニメーションレンダリングする場合は何フレーム目から何フレーム目までをレンダリングするかを指定します.今回は
「フレームレンジ」…「全てのフレーム」
にして0~90フレームまでをレンダリングします.

保存

左側列にある保存のチェックをオンにします.保存セクションではファイル名の指定を忘れずにしておきます.フォルダアイコンをクリックしてフォルダとレンダリング後に保存するファイル名を設定しておきます.さらに「フォーマット」で保存するファイルフォーマットを指定します.今回はmp4の動画フォーマットをしてしますが,通常アニメーションレンダリングする場合は連番ファイルを使うことがほとんどですので,フォーマットはpngやexrなどの静止画ファイルのフォーマットを指定します.AfterEffectsなどでレンダリング後にコンポジットする場合は静止画フォーマットを指定しておきましょう.mp4などの動画フォーマットの場合は90枚のレンダリングが完了した後にファイルが生成されるので,途中でレンダリングを止めたりすることはできないので,もしレンダリング中にPCが落ちたりすると最初からやり直しになってしまいますので,通常は静止画ファイルでレンダリングするようにした方が良いです.

保存ファイル名とフォーマットは必ず指定しておく

本番レンダリング

ここまでの設定ができたら,「レンダリングして画像ビューアーに」(Shift + R)のアイコンをクリックして本番レンダリングを開始します.0フレーム目からレンダリングが始まり,一枚終わると次のフレームを順に出力していきます.

「レンダリングして画像ビューアーに」でレンダリング開始
レンダリング中

本来はいきなり本番レンダリングするということはなく,作成過程で何度も確認のテストレンダリングをおこないます.マテリアルやライトなどの確認はもちろんのこと,一枚あたりにかかるレンダリング時間の調整のために品質設定を調整してテストレンダリングなども何度も行うことになります.

アニメーションレンダリングはレンダリング時間がかなりかかることが常ですので,複数台のPCを使って分散レンダリングを行って時間を短縮していくなどの方法もあります.Cinema 4DにもTeamRenderという分散レンダリングの機能があります.今回は使用方法については紹介していませんが,こちらもいずれ別のチュートリアルで紹介できればと思っています.

それでは「作って覚える 基礎チュートリアル」シリーズ全7回最後まで見てくださった方,トライしてくださった方,ありがとうございました.

自分なりに工夫してさらに色々なオブジェクトを追加したり,ライティングを変えてみる等して機能のテストをしてみるといいかもしれません.私はの作例では背景に雲のオブジェクトを追加しています.

完成したデータはこちらからダウンロードできます.

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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