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U-Renderの魅力について

U-RenderはCinema 4Dプラグインのサードーパーティレンダラーです.最大の特徴はなんといってもリアルタイムレンダラーであるという点です.レンダリングにはGPUが必要ですが,レンダリング速度は非常に高速でリアルタイムならでは,ほぼ完成形の状態を確認しながら作業を進められるのがメリットとして挙げられます.

2022.04バージョンからトゥーンレンダリング(NPR:Non Photorealistic Rendering)やスクリーンスペースグローバルイルミネーション(SSGI)といった機能を実装して,より表現力の高いレンダラーになってきた印象があります.個人的にはNPRはかなり良いのではないかと思っています.特にリアルタイムレンダリングできるので結果を見ながら作業できるのはいいですね.

この記事ではそんなU-Renderの主要な機能をいくつかピックアップして紹介しながらその魅力に迫ってみたいと思います.

この記事を執筆している時点でのU-Renderのバージョンは2022.4です.

目次

リアルタイムレンダリング

U-Renderはリアルタイムレンダラーで,Cinema 4Dのエディタ上でレンダリングを常に実行しながら作業を進めることができます.エディタメニューからU-Renderを開始すればビュー上でレンダリングがはじまります.ライトやマテリアルの調整をし,ほぼ最終結果と変わらない状態を確認しながら作業を進めることができます.パラメータの変更後すぐに結果に反映されるのはかなり楽です.

U-Renderは作業しながらでも結果を確認できる

NPR(Non Photorealistic Rendering)

作ってお覚える基礎チュートリアルのシーンのマテリアルをU-RenderのNPRに変換してレンダリングしてみました.シーンが簡単というのはありますが,レンダリングはアンチエイリアスを最大にしても一枚あたり秒で完了します.(GPU性能に多少左右されるとは思います)

↓こちらはU-Render公式動画ですが,ご覧のようにエディタ上でリアルタイムプレビューしながら作業ができます.

NPRを試した印象ですが,かなり使いやすいように思いますし,NPRマテリアルも分かりやすくシンプルで良いと思います.アウトラインは全体設定のほか,マテリアル別にも設定できます.

SSGI(Screen Space Global Illumination)

SSGIはスクリーンスペース内のみで間接光の計算を行います.エディタビュー上に見えている範囲内でリアルタイムの間接照明を描画することでより自然な見た目にしてくれる機能です.発光マテリアルもSSGIを使うことでライトとして機能するようになります.デメリットとしてはSSGIは計算は早いのですが,スクリーンから見えなくなったオブジェクトやライトからの間接光は除外されるので,カメラアニメーションなどする場合は注意が必要です.

下の画像はSSGIのオンオフの比較ですが,少ないレンダリングコストにも関わらず発光する炎マテリアルからのライトがアーチの奥まった箇所にまで影響を与えているのがよく分かります.

SSGIのオンオフの比較

マテリアル

マテリアルはU-Render専用のものを使用する必要があります.Cinema 4DのマテリアルはU-Renderマテリアルに変換できるので既存のプロジェクトをU-Renderに移行する際の負担も少なくなります.

マテリアルも設定が難しいことはありませんし,公式からCinema 4D用のライブラリもダウンロードできるのでそれらを使ったり編集すればそれほど迷うことなく設定ができるはずです.また,設定が簡略化されたプリセットマテリアルもいくつか用意されているので便利です.

マテリアルの結果もリアルタイムに反映される

U-RenderマテリアルをCinema 4Dに変換というコマンドが用意されています.もちろん完全な相互変換が出来るわけではないですが個人的には結構ありがたい機能のひとつです.一例としてはサードパーティレンダラを使用した場合に,そのプロジェクトをfbxなどで書き出すなどしてUnrealEngineやUnity,その他のDCCツールへ移行させることがある場合Cinema 4D標準マテリアルであった方が良いことがほとんどだからです.

マテリアルの相互変換が可能

被写界深度

被写界深度をサポートしています.作業中でもプレビューしながら操作できますが,少し操作が重くなるので作業時は品質を低くくして本番レンダリング時はアンチエイリアスを高くするとよいでしょう.

プリレンダリングほど綺麗なボケにはならないまでも,なかなか綺麗な絵が出せるので用途によっては十分活用できる範囲だと思います.また,リアルタイムエフェクトなので,透過オブジェクトがある場合は正確なボケ方になりません.この辺りは今後のバージョンで改善されるかもしれませんが.

モーションブラー

モーションブラーをサポートしています.ブラーは画像ビューアーでレンダリングしないと確認できませんが,レンダリングが速いのでかなり気楽に使えると思います.カメラモーションブラーとオブジェクトモーションブラーに対応していますが,デフォーマーなどによる変形にはまだ未対応です.

モーションブラーのレンダリング

ライト

ライトは「ポイント」,「スポット」,「無限遠」,「エリア」の4つを利用できます.影はハードシャドウかシャドウマップから選択できます.精度の高いエリアシャドウのような影を表現することはできませんが,そこに目をつぶれば少ないパラメータで扱いやすいライトです.影は絵作りで重要な要素ですが,シャドウマップで対応できる場合もあるのではないでしょうか.逆にエリアシャドウのように,より正確で綺麗な影のボケ感を求める絵作りに対してはU-Renderは向いていません.

U-RenderはCinema 4Dの標準ライトを使用できます.追加のオプション用にU-Renderタグが用意されているのでより細かい制御はそちらを使うことができます.今後の開発でどうなるかは分かりませんが,現状のU-RenderはCinema 4Dのレンダラーに切り替えがしやすい仕様になっています.

ぼけた影はシャドウマップによる

ボリュームレンダリング

ボリューメトリックな霧やゴッドレイを描画できます.ボリュームオブジェクトはノイズパラメータを備えているので,簡単にノイジーなフォグを作成することができます.ボリュームフォグの効果で雰囲気が変わりますね.

ボリュームレンダリングによるフォグとライト

マルチパス

マルチパスの対応も気になるところだと思いますが,一通りのパスを出力することはできるようになっているので基本的なコンポジットは問題なくこなせるでしょう.とはいえ,プリレンダリング用のレンダラーに比べると機能的には物足りない部分もあると思います.

マルチパス出力項目

必要なハードウェア,ライセンスと購入について

レンダリングにはGPUを使うので,そこそこの性能のGPUは必要になってきます.GPUは動作環境にもあるとおり,AMDかNVIDIAのGPUを使う様にしましょう.

AMDもしくはNVIDIAのGPU(OpenGL 4.5 対応、3 GB以上の VRAM (8 GB以上推奨)、Cinema 4D R16-R26対応


以前は永続ライセンスでしたが,バージョン2022.04からサブスクリプションのみとなりました.年間ごとの更新となります.サブスクリプション期間中は常に最新版が利用できます.

購入は開発元サイトからでも可能ですが,国内の代理店からの購入も可能です.(順不同,他の代理店もあるかもです)
U-Render 開発元
ティー・エム.エス ダイレクト
フラッシュバックジャパン
オーク
CGinterest

最後に

U-Renderのメリットなリアルタイムであることはもちろんですが,Cinema 4D上で動作する点も大きなメリットでしょう.Cinema 4Dユーザーからすれば慣れ親しんだUIでの操作に加えてMoGraphなどの強力な機能と組み合わせて利用することもでき,調整作業もスピーディに行えます.リアルタイムレンダリングの機能に関してはゲームエンジンの方が優れている部分は確かにありますが,データを渡すことなく作業を完結できるのは大きなメリットでしょう.

速度面では非常に有利ですが,その一方で機能面ではプリレンダーに劣る部分はあります.その辺りをよく見極めて制作物に合わせて選択すれば作業効率をあげつつ,必要十分なクオリティの絵が出せると思います.

今回はサードパーティレンダラのU-Renderを紹介してみました.代表的な機能に絞っていますし,かなり端折っているので細かい機能はより実践的なチュートリアルで紹介できればと思っています.

U-Renderが気になった方は開発元サイトからデモ版を試してみるとよいでしょう.

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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