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つくって覚える第2回 フライングロゴをつくろう Part.1 (改訂版2024.09)

このチュートリアルは2024年9月に内容を更新いたしました.
使用しているバージョンは

Cinema 4D 2024.5
Redshift 3.6.04

となります.

このチュートリアルではMoGraphとスプラインラップデフォーマを使って簡単なフライングロゴアニメーションを作成していきます.これらの機能でどのような表現ができるか掴んでもらえると幸いです.

目次

動画による全行程

スプラインラップデフォーマはスプラインに沿ってオブジェクトを移動させたり変形させることができる便利なデフォーマです.様々なパラメータを活用することで比較的簡単に多様な変形を表現できるので,使う場面も結構多いイメージがあります.各パラメータの役割を理解して色々なシーンで応用できるようにしておくのも良いかなと思います.カメラアニメーションはモーフカメラを使用して作成することにしました.

このチュートリアルを大きくパートに分けると

  • スプラインラップによるテキストの台座の変形アニメーション
  • テキストロゴのアニメーション
  • モーフカメラによるカメラアニメーション

となります.この作って覚えるシリーズは操作も細かく記載していこうと思っていますので,文章や内容が少しくどくなってしまうところが多々あると思いますが,初心者の方がなるべく詰まらないように配慮していますのでご容赦頂ければと思います.

新規プロジェクトを作成する

Cinema 4Dを起動して新規プロジェクトを作成します.まず最初にやることはプロジェクト設定(Ctrl + D)です.プロジェクトスケールは「cm: センチメートル」で作成を進めていきます.
「FPS」…「30F 」
「時間最大」…「120F」

としておきます.このチュートリアルでは4秒間のアニメーションを作成します.

まずはプロジェクト設定を決めておく

表示単位は「cm」にしておきます.表示単位は一般設定(Ctrl + E)を開いて「単位」セクションから変更できます.

単位の設定を確認する

単位表示が煩わしい場合は「単位を表示」を「オフ」にすることもできますので,ある程度慣れたら好みに応じて設定を変えても良いでしょう.

これでプロジェクト設定は完了です.

イラストレーターのベクターファイルをインポートする

最初にテキストの背景オブジェクトを作成します.このオブジェクト自体はスプラインを押し出して作成していくので,テキストスプラインやスプラインペンを使って押し出し用スプラインを作成しても良いですが,今回はIllustratorの作成したファイルをCinema 4Dへスプラインとしてインポートしてそれを押し出していく方法をとります.

使用するIllustratorのデータはこちらからダウンロードしてください.

実際,Illustratorファイルをインポートする機会は多くあります.例えばロゴデータやテキストのアウトラインをIllustratorファイルで支給されることも少なくありませんし,複雑なベクターデータはIllustratorの方が作りやすいケースもあるでしょう.

.aiファイルをインポートする場合は,「ファイル」→「プロジェクトをマージ」(Ctrl + Shift + O)から行うか,エクスプローラーからファイルをCinema 4Dのウィンドウ上へ「Shift + ドラッグ&ドロップ」して行うこともできます.(通常のドラッグ&ドロップの場合は新規プロジェクトが作成されます)

インポートは「プロジェクトをマージ」
エクスプローラー上からCinema 4D上へShift+ドラッグ&ドロップしてもよい

.aiファイルのインポートダイアログが表示されるので,
「スケール」…「10」(cm: センチメートル)
でインポートします.1だと小さすぎたので今回は10としているだけで特に決まりがあるわけではありません.オプションで「ベクターオブジェクトを作成」を「オン」にしておくとCinema 4Dのベクターオブジェクトにaiファイルがリンクされた状態で読み込まれ,そのまま押し出しなどの操作ができますが,今回は使用しません.

インポートスケールは適宜調整します

スプラインを整理して押し出す

BG.aiファイルをインポート後は,必要なスプラインと不要なスプラインが混同しているので,まずは必要なスプラインだけを取り出して他は削除していきます.

スプラインがいくつかある

今回必要なスプラインは次の画像の黄色い枠で囲った3つのスプラインです.これらを複数選択して,オブジェクトマネージャの「オブジェクト」メニュー→「オブジェクトを一体化+消去」を実行し,一体化させます.また他のスプラインやヌルは削除しておきます.必要なスプラインには「BGスプライン」と名前を付けておきます.

必要なスプラインを選択して一体化後,他のオブジェクトは削除
必要なスプラインだけ取り出す

このスプラインのローカル軸位置はワールドの原点にありますが,実態のポイントがオフセットした状態にあるので軸位置をポイントの中心かつ下のラインの位置に変更しておこうと思います.実際にはこの作業は無しで進めても大丈夫ですし,場合によってはこのままの方が都合が良い時もあるので,軸変更はその時々の判断で調整したりしなかったりとなります.

BGスプラインを選択して「モデルモード」にすると,軸位置が原点にあることが分かります.「作って覚える 基礎チュートリアル」では「軸を有効」という機能を使って軸位置を変更しましたが,今回は「軸ツール」を使ってみましょう.

軸が原点にあるので中央下部に持ってきたい

メインメニューから「ツール」→「軸」→「軸の中心」をクリックすると軸ツールダイアログが表示されます.

軸の中心ツールを使う

BGスプラインを選択した状態で,
「中心を操作」…「オン」
「アクション」…「軸を」
「中心を操作」…「全てのポイント」
「X」…「0%」
「Y」…「-100%」
「Z」…「0%」

にして「実行」します.軸位置は全てのポイントの中心を基準としているので,XとZ方向は0%なので中央に,Y方向は-100%なので全てのポイントの一番下に移動することになります.

軸位置を中心かつ下部へ移動できた

軸位置を変更したら,BGスプラインの座標位置を原点「0,0,0」に設定して移動させます.これで軸位置が中央下部で,かつ原点に再配置させることができました.

軸位置を中央下部にして,スプライン自体を原点に移動

軸の位置の調整は「軸を有効」のほかに,この「軸ツール」を用いた方法もあります.他にも様々な方法はあります.軸位置を中央に調整する作業は今回のチュートリアルではさほど重要ではないのですが,オブジェクトを扱いやすくするために軸位置がどこにあるかを把握しておくこと,また調整方法を知っていることがとても重要なことです.最初の内は軸位置を調整する意味がよく分からないかもしれませんが,経験を重ねるほど軸の重要性が分かってくると思いますので,今の段階ではなんとなくそういうツールがあるんだ,程度でもかまいません.

余談ですが,私に関しては軸ツールの他に次のコマンドもよく利用するのでカスタムレイアウトから実行できるようにアイコン化して組み込んでいます.ショートカット登録しておくのもよいかもしれません.「スケールをリセット」は軸操作とはことなるのでここでは割愛します.

軸ツールはよく使う
軸ツール軸ツールダイアログで軸位置を細かく調整できます.
軸を中心に軸位置をオブジェクトの中心に移動させます.
※実行時の設定は軸ツールの設定が使用されます.
オブジェクトを中心にオブジェクトを軸位置の中心に移動させます.
※実行時の設定は軸ツールの設定が使用されます.
親を中心に親オブジェクトの位置を選択オブジェクトの軸位置に移動させます.
※実行時の設定は軸ツールの設定が使用されます.
中心を親に選択オブジェクトを親オブジェクトの軸位置に移動させます.
※実行時の設定は軸ツールの設定が使用されます.
ビューの中心に選択オブジェクトをエディタビューの中心に移動させます.
※実行時の設定は軸ツールの設定が使用されます.
各種軸ツール

軸位置の調整は本当に重要な要素なのですが,少しずつ理解を深めていけば問題ありません.

スプラインを押し出して台座を作成する

スプラインを押し出してキャップの設定をする

それではシーンに「押し出し」を作成してBGスプラインを子オブジェクトに設定します.ここで時短方法を紹介しておきます.BGスプラインを選択した状態で「Altキー」を押しながら「押し出し」を作成すると,選択していたオブジェクトの親に自動的に配置されます.ドラッグ&ドロップして子オブジェクトにする手間が省けるので覚えておくと便利です.

ただし,この方法は「新規オブジェクトの軸位置は選択していたオブジェクトの位置に作成される」というルールが適用されます.よって,BGスプラインの座標位置が仮に「100,0,0」という位置にあったとしたら,押し出しオブジェクトの座標位置も「100,0,0」に配置されるということです.

軸位置がどこにあるか把握できていない状態でこの方法でオブジェクトを作成していくと,色々なオブジェクトの軸位置がバラバラの状態になってしまい,最終的には扱いにくいシーンとなってしまう可能性があるので,選択オブジェクトの軸位置がどこにあるのか,また先に紹介した軸位置の調整方法もしながら軸の位置や向きを意識しながら作業してみるとよいでしょう.実際に軸の位置や向きがバラバラのデータはインスタンスやMoGraphにも影響がでますし,他にも様々な問題につながる可能性が高いのです.

押し出しオブジェクトのパラメータを
「オフセット」…「25cm」
「分割数」…「5」

とします.分割数を上げたのは後にスプラインラップデフォーマで変形させたときに崩れないようにさせるためです.

さらに「キャップ」タブを開き,
「ベベル形状」…「カーブ」
します.「カーブ」モードにするとスプラインカーブの形状からベベルを調整できますが,今回は「プリセットを読み込み」をクリックしてデフォルトで用意されているカーブから好きなものを選んでみてもよいでしょう.

ベベルはカーブプリセットから選択してもよいでしょう

プリセットを選択したら,「サイズ」は好みで調整しておきます.

デフォーマで綺麗に変形させるために分割数をあげる

後工程の変形のために押し出し方向の分割数はさきほど上げましたが,あと2か所の分割数も上げる必要があります.それはキャップ側とアウトライン側の分割数です.現在の状態を確認するためにエディタメニューの「表示」→「グーローシェーディング(線)」に変更します.表示に関してのショートカットも今後のために覚えておくとよいでしょう.表示関して先にNを押して,続けて各種モードに対応したアルファベットを押します.N~Bと押せばグーローシェーディング(線)になります.

エディタの表示モードを(線)のタイプに変更

すると押し出しのポリゴン分割線が見えてきますが,キャップの部分にはなにも表示されてないですね.実はキャップ部分はN-ゴンという多角形が生成されているのですが,この状態は綺麗に変形させるのが難しいので,均等に細かく分割する設定に変更していきます.

キャップとアウトラインの分割数が足りない

アウトラインの分割数をあげる

アウトラインの分割数はBGスプラインの設定を変更します.BGスプラインを選択し,「オブジェクト」タブを開き,
「補間法」…「細分化」
「最大長」…「10cm」

とします.スプラインの制御ポイント数自体は変わりませんが,内部的には細かく分割された状態になり,押し出しなどの処理結果が変わってきます.

スプラインの分割数を上げる

キャップ側の分割数をあげる

押し出しオブジェクトの「キャップ」タブを開き,
「テッセレーション」…「均等分割」
「サイズ」…「10cm」

にします.キャップ内部のポリゴンが10cmサイズで均等分割されます.これで全体のポリゴン数を上げることができたので,デフォーマで変形させても形状が壊れにくくなります.分割結果はタイプによって変わるので,用途に応じて適切なものを選択するとよいでしょう.

キャップの分割数もあげる

スプラインラップデフォーマ用のスプラインを作成する

つぎにスプラインラップデフォーマで変形させます.スプラインラップデフォーマは文字通りスプラインを使ったデフォーマですので,先にスプラインを作成します.エディタビューを「上面図」に変更し,「ポイント」モード,「スプラインペンツール」をアクティブにします.

上面図にして,ポイントモードとスプラインペンをアクティブにする

ポイントを下図を参考にして作成してください.接線は不要です.すべてのポイントを追加したらESCキーを押して確定させます.

各ポイントの座標位置を参考に明記しておきますので,ピッタリ合わせたい場合は座標マネージャを開いて,各ポイントを選択して位置に数値入力します.

作成するスプラインポイントの目安
ピッタリ合わせたい場合は座標マネージャで数値入力してもよい

スプラインを選択し,
「タイプ」…「Bスプライン」
「補間法」…「均等」
に変更します.

Bスプラインはポイント間の中間をなめらかに補間した曲線にしてくれます.ベジェのように接線を使った細かい調整はできませんが,簡単に曲線を作れるので便利です.他の「3次」,「Akima」も接線が不要で曲線を作るタイプでこれらはポイント上を通過しながら曲線を生成します.いずれも生成されるカーブ形状は異なるので場合によって使い分けてもよいでしょう.

補間法を均等にする理由は,スプラインラップデフォーマで変形させたときに綺麗に変形させるためです.

また,スプラインの名前も目的に応じて変更しておきます.今回はスプラインラップデフォーマのパスとして使うので「パススプライン」としました.

Bスプラインにして補間法は均等にする

スプラインラップデフォーマで変形させる

スプラインラップデフォーマを作成します.

スプラインラップデフォーマを作成する

スプラインラップデフォーマは押し出しの子に配置します.BGスプラインの子にならないようにしてください.スプラインラップデフォーマの「オブジェクト」タブの「スプライン」の欄にパススプラインをドラッグ&ドロップすると,押出オブジェクトがパススプラインに沿って変形します.分割数が少ないとこの時にカクカクして綺麗に変形してくれません.

スプラインラップデフォーマで変形させる

スプラインラップデフォーマのパラメータを変更することで変形状態をコントロールできます.いくつかのパラメータを組み合わせてアニメーションを作っていきますが,その前に主要なパラメータをピックアップして効果を紹介していきます.

強度:デフォーマのかかり具合を調整します.

オフセット:変形オブジェクトをスプライン上に沿って動かすために使用します.0%以下,100%以上の値を入力することもできます.後述する「終端のモード」によってはスプラインの延長ライン上にオブジェクトを移動させることもできます.

開始・終了:スプライン上のどの区間に変形させるかを指定するパラメータです.
「開始」…「25%」
「終了」…「75%」

とした場合は,スプラインの全長のうち,25~75%の位置に渡ってオブジェクトを変形させます.「開始」が「0%」,「終了」が「100%」の場合はスプラインの全長に渡りオブジェクトが変形します.

「開始」と「終了」の効果

モード「スプラインに合わせる」はオブジェクトの長さがスプラインの長さに引き伸ばされます.対して「長さを保つ」の場合は元の形状の長さを保ったままスプライン上に変形します.前者は形状を変形させて面白い効果を得られることもありますが,もし変形対象オブジェクトを引き伸ばしたくない場合は後者を選択するとよいでしょう.

モードの違い

「終端のモード」「制限」はスプラインの始点,終点地点で変形が終了しますが,「延長」は始点,終点の延長線上にも効果が及びます.例えばスプラインの延長線上に移動させたい時は「延長」モードにして,「オフセット」を0%以下,または100%以上の値にするとよいでしょう.

「延長」モードで「オフセット」を調整した例

サイズ

サイズ,回転を制御するためのパラメータがあります.サイズのパラメータを展開してみると,「サイズ」,「サイズの強度」,「スプラインサイズ」,「スプラインの強度」があります.いずれもサイズコントロール用で4つもあるので難しそうですが,実は簡単です.

「サイズ」

UIは関数グラフになっていますが,これはオブジェクトそのものの長さを始点から終点までの間でサイズを調整するためのパラメータです.スプラインの接線に対して垂直に交差する平面上でサイズが変わります.文章だけでは分かりにくいので図にすると単純な事だと分かります.関数グラフの左側(始点)のポイントY=0にすると,オブジェクトの始点サイズが0になります.「サイズの強度」は関数グラフの数値にさらに乗算する数値です.0 以下,100%以上の値を設定できるので,よりサイズを強調したりできます.

「サイズ」の関数グラフはオブジェクトの長さに対して作用する

関数グラフにポイント追加する場合はグラフ上でCtrl + クリックします.このポイント上で右クリックのコンテキストメニューから折れ線にしたり,様々な形状のグラフを作成できます.

「スプラインのサイズ」

こちらはパススプラインの始点と終点に対して作用するパラメータです.例えば,スプラインラップのオフセットでオブジェクトを移動させたときに,ある地点においてスケールを変更したりできます.

パススプライン上のある地点だけサイズを変更したりできる

このように,「サイズ」はオブジェクトそのもののサイズを変え,「スプラインのサイズ」はパススプライン上でのサイズを変更できます.パラメータが多いのではじめはとっつきにくいかもしれませんが,変形の効果対象だけ掴んでしまえばコントロールはそれほど難しいものではありませんし,複雑な変形アニメーションをサポートしてくれます.

回転

回転についても基本的にはサイズと同じですが,回転用に「アップベクター」と「バンク」のパラメータがあります.アップベクターは変形オブジェクトの上方向のベクトルを定義するものですが,話が難しくなるのでここでは割愛します.基本的には変形オブジェクトの向いている方向を変更したいような場合に設定します.

バンク

バンクは変形した状態からオブジェクトを回転させることができます.これはオブジェクト全体の形状に作用します.

全体を回転できるバンク

回転

「回転」もサイズ同様,オブジェクトの長さに対して作用します.こちらは長さに応じて効果をかけるので形状をねじる(ツイスト)ように変形させることができます.関数グラフをより細かく設定することで複雑なツイスト変形が可能となります.

「回転」はねじる変形になる

スプラインの回転

こちらもサイズ同様,パススプライン上のある地点でのツイスト変形ができます.

「スプラインの回転」はパススプラインの任意の地点でツイストできる

他にもスプラインラップ特有の「境界ボックス」といった項目もありますが,今回は割愛します.まずはパススプラインに対してのオフセットや開始,終了,モード,終端のモードを理解して,さらにサイズと回転のコントロールが出来るようになれば十分活用できるものになると思います.次回以降はこれらのパラメータを活用して変形アニメーションを作成していきます.

レールスプラインや境界ボックスの紹介は省いてますが,ある程度慣れたら学んでみると良いでしょう.

ここまでのデータのダウンロード

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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