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作って覚える シミュレーション機能で浮き輪づくり 1

作って覚えるシリーズ第3回目です.今回は以下のような静止画を作成していきます.この記事を公開する頃は夏を迎えていると思いますので,夏を感じるものにしてみました.

今回の作例
今回の作例

今回使用する主な機能はクロスとソフトボディによるシミュレーションです.Cinema 4D R26からシミュレーション機能がアップデートされ,パラメータが少し変わりました.一応旧バージョンのパラメータを使用することも出来るようになっていますが,新しいR26で進めていきます.他には頂点マップを使ったり,水の表現にコースティクスという光の集光模様を描く機能を使います.コースティクスに関してはサードパーティレンダラの方が扱いやすい(個人的な感想です)ですから,Cinema 4Dの標準レンダラーでは使う機会が少ないかと思いますが,コースティクスを描く仕組みなどを知っておくと他のレンダラーで十分活用できると思います.

目次

プロジェクト設定

浮き輪はドーナツ状のシンプルな形状ですから,最初はプリミティブオブジェクトの「トーラス」から作ればいいか…とも考えましたが,ポリゴンモデリングとは違う方法でクロスシミュレーションによる作成を試すことにしました.

先に言っておきますと,作り方というのは人によって異なるので何が正解ということはありません.「トーラス」から作成していくこともできますし,スプラインの回転だけでもできそうですよね.ですから,今回紹介するクロスシミュレーションによる作り方も様々なある方法のひとつでしかないので,他の方法で作っていただいてももちろん構いません.

Cinema 4DのバージョンはS26.107を使います.

それでは,今回も新規プロジェクトを作るところから始めます.Cinema 4Dを起動して,「新規プロジェクト」をつくります.「プロジェクト設定」(Ctrl + D)を開き,
「プロジェクトスケール」…「cm: センチメートル」
にしておきます.

「プロジェクトスケール」は「cm」
「プロジェクトスケール」は「cm」

「編集」メニュー→「一般設定「(Ctrl + E)を開き,
「単位」セクションを開いて
「単位」…「cm」
にしておきます.

「単位」も「cm」
「単位」も「cm」

浮き輪の下準備

普通に考えばプリミティブオブジェクトの「トーラス」から作っても構わないのですが,今回はクロスシミュレーションの機能を使っていきます.まずは以下のような形状をスプラインと回転を使って作成します.

まずはこの形状をつくる
まずはこの形状をつくる

開いた断面スプラインと回転でベースとなる形状を作成する

断面スプラインをスプラインペンで作成していきますので,「ポイント」モードにして,「スプラインペン」をアクティブにします.

ポイントモードをアクティブにする
ポイントモードをアクティブにする
「スプラインペン」をアクティブにする
「スプラインペン」をアクティブにする

エディタビューを前面ビューに切り替える

エディタを「前面」ビューで全面表示に切り替えます.ビューの切り替え方法はこちらの記事内でも紹介しています.「前面」ビュー上にカーソルを合わせてマウス中ボタンをクリックすると「前面」ビューを全面表示にできます.各ビュー右上のアイコンでも切り替えできますが,主に使うのはビュー上でマウス中ボタンクリックで切り替えです.

ビューの切り替え方法
ビューの切り替え方法

断面パスを作成する

スプラインペンのポイントはグリッドにスナップさせながら作りましょう.まず「スナップ」を「オン」にします.スナップアイコンをクリックでオンオフを切り替えることができます.ショートカット(Shift + S)で切り替えることもできます.

スナップをオン
スナップをオン

スナップはどのエレメントにスナップさせるかをオプションから設定できます.スナップアイコンの隣にある「モデリング設定」アイコンをクリックし,「スナップ」タブの中で設定します.
「グリッド/作業平面」…「オン」
「グリッドポイント」…「オン」

にします.

スナップ設定で「グリッド/作業平面」を「オン」
スナップ設定で「グリッド/作業平面」を「オン」

スナップはオンオフに加え,どのエレメントにスナップさせるかを設定して使います.基本的にはスナップさせたいエレメントのみをオンにして使うと良いでしょう.作業中に色々な要素にスナップしすぎると間違えたり,目的のスナップが上手くできない,色々な要素にスナップしすぎて動作が遅くなるなど,作業効率に影響してきます.

スプラインペンで最初のポイントを作成する

前面ビューから見て,座標(X150cm,Y50cm)の位置をクリックしてポイントを作成します.グリッド間隔はビューの拡大状況に応じて変化します.下の画像ではグリッド間隔が「5㎝」になっているので,グリッド数から目的の座標位置は見当がつきます.グリッドポイントにスナップしたところでクリックしてポイント作成したら,そのまま左へドラッグして接線を作成します.

最初のポイントを作成する

2番目のポイントを作成する

2番目のポイントは座標(X50cm, 0㎝)に作成し,真下へ接線を作成します.

2番目のポイントと接線を作成する
2番目のポイントと接線を作成する

3番目のポイントを作成する

3番目のポイントは座標(X150㎝, Y-50cm)の位置へ作成し,右へ接線を作成します.作成後はEscキーを押してスプラインを確定させます.これで断面スプラインができました.

3番目のポイントと接線を作成後,Escキーでスプラインを確定する
3番目のポイントと接線を作成後,Escキーでスプラインを確定する

スプラインを作成後も「スプラインペン」でポイントや接線の編集はできます.スプラインペンの基本的な使い方は「Cinema 4D for Beginners Part 2 モデリング機能基礎 スプラインペン」にて記載していますので併せて読んでみてください.

回転を使ってジオメトリ化する

作成したスプラインオブジェクトを選択した状態で,Altキーを押しながら「回転」オブジェクトを作成します.スプラインが回転の子オブジェクトになり,以下のような形状が作成されます.

回転を作成する

生成されたジオメトリの分割数を調整するために,スプラインオブジェクトの
「補間法」…「均等」
に変更してポリゴンが均等に分割されるようにします.

スプラインの「補間法」を「均等」に変更する
スプラインの「補間法」を「均等」に変更する

「スナップ」を「オフ」にしておきます.(Shift + S)
また,回転の名前を「浮き輪ベース」と付けておきます.※名前付けは大事です.

ポリゴン化してブリッジで繋ぐ

「浮き輪ベース」を選択し,「オブジェクトマネージャ」→「オブジェクト」→「現在の状態をオブジェクト化」を実行します.右クリックコンテキストメニューからでも行えます.

現在の状態をオブジェクト化
現在の状態をオブジェクト化

「現在の状態をオブジェクト化」すると元のオブジェクトを編集可能にしたオブジェクトが作成されます.元のオブジェクトも残るので,作業で失敗したらここからやり直しがききます.元オブジェクトは非表示,非レンダリングにしておきます.

非表示・非レンダリングはオブジェクトマネージャの縦に二つ並んだ小さなボタンをクリックして赤色にすることで変更できます.こちらの記事も使い方を記載しているので併せて読んでください.

ポリゴン化された方は選択範囲タグがたくさんついているのでこれらは削除しておきます.不要なタグを残しておいても差し支えはないですが,後でデータを見たときにそれが要るのか,要らないのか判断つきにくいこともありますので,使わないなと思ったら削除するほうが良いでしょう.

ポリゴン化した方の選択範囲タグは削除
ポリゴン化した方の選択範囲タグは削除

開いている箇所をブリッジで閉じる

エッジモードに変更します.

エッジモードにする

メインメニューから「選択」→「ループ選択」をクリックします.ショートカットは(U~L)です.このツールはよく使うのでショートカットで使うようにしたいです.開いているエッジ上にカーソルを合わせると選択できる範囲がハイライトされるので,上端のエッジ上でクリックして選択します.

ループ選択
ループ選択
ループ選択で上端を選択
ループ選択で上端を選択

Shiftキーを押しながら下端のエッジもぐるっと一周ループ選択で選択します.

上下の端をループ選択で選択する
上下の端をループ選択で選択する

右クリックのコンテキストメニューから「ブリッジ」をクリックします.

ブリッジツール
ブリッジツール
上端と下端のエッジをブリッジで接続
上端と下端のエッジをブリッジで接続

このような作り方にした理由は次に行うクロス機能を使うためですが,その前にオブジェクトマネージャを整理しておきます.新しくヌルオブジェクトを作成して名前を「バックアップ」としておきます.回転の浮き輪ベースはバックアップグループの子オブジェクトにしておきます.バックアップグループ自体を非表示,非レンダリングにします.もしかしたら後で使うかもしれないようなオブジェクトは念のために残しておくと安心です.ただし,何でもかんでも残しておくとシーンが重くなるのでプロジェクト自体を別名保存して残しておくなどの工夫をすることもあります.

バックアップグループを作ってまとめる
バックアップグループを作ってまとめる

これで基本形状ができました.次はクロスシミュレーションを用いて浮き輪形状へ変えていきます.

ここまでのデータはこちらからダウンロードできます.

次回 作って覚える シミュレーション機能で浮き輪づくり 2へ

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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