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つくって覚える第1回 はじめてのCinema 4D アニメーション Part.2 (改訂版2024年08月)

Part.1の続きです.今回はシーンの賑やかし要素として簡単なヤシの木のモデリングを行います.

目次

動画版の全工程

ヤシの木の幹を作る

ヤシの木用にいろいろなオブジェクトを追加するので,まずはシーンを整理します.ヌルを作成して,前回までに作成したオブジェクトをまとめて子オブジェクトにしておきます.ヌルの名前をつけておきます.作例では「Part1オブジェクト」としています.階層は閉じて,ヌルは非表示にしておきます.

エディタ上で非表示にする場合はオブジェクトマネージャの名前の右側にある縦に二つ並んだ小さな丸いアイコンの,上側をクリックして赤色にします.クリックするたびにグレー,緑,赤と変化します.赤色は常に非表示にするという意味があります.グレーは親に従う,緑は常に表示です.

グループにまとめておく

これからヤシの木をモデリングしていきますが作成方法は何通りもあり,人によってそれぞれ作り方は異なりますので,今回紹介しているのはあくまでパターンのひとつとして捉えておいてください.

幹の作成

幹はスイープで作成していきます.まず幹のパス用スプラインを作成しますので,スプラインペンツールを使ってみましょう.スプラインペンはポイントモードで利用できます.

ポイントモードにしてスプラインペンを有効にする

透視ビューのまま作成すると思わぬ座標位置にポイントが作成されるのでエディタビューを切り替えて前面ビューにしておきます.原点付近でクリックして一番目のポイントを作成し,やや上に二番目のポイントを作成します.Escキーを押してスプラインを確定させます.

スプラインペンでスプラインを作成する

次にポイントの座標値を少し調整しておきます.ポイントモードのままライブ選択ツールでポイントを選択します.ポイントの座標位置は属性マネージャでは確認できないので「座標マネージャ」を開きます.ここで一番目のポイント座標位置XYZが原点の「0,0,0」付近にあること,また二番目のポイント座標XYZが「0,100,0」付近にあるように調整します.移動ツールを使っても構いませんし,座標マネージャの欄に直接入力しても構いません.

ポイントを選択して座標位置を調整する

つぎはスプラインの「補間法」を「Bスプライン」に変更しておきます.これは後の工程で幹のうねりを作りやすくするためです.

スプラインの「補間法」を「Bスプライン」にする

スプラインの始点と終点ができました.さらにスプラインを細分化してポイント数を増やしておきます.ビュー上で右クリックして「細分化」コマンドの歯車アイコンをクリックします.すると細分化のオプションが表示されるので,
「分割数」…「4」
としてOKを押します.

スプラインを細分化する

分割数を増やしたら,各ポイントを選択して少しだけ位置を調整して幹のうねりを表現していきます.補間法がBスプラインになっているとポイント間をなめらかなカーブで補間してれます.

各ポイントの位置を少しずらしてうねらせる

続いて円形スプラインを作成して,
「半径」…「5㎝」
「補間法」…「均等」
「分割数」…「2」

としておきます.

スイープを作成し,断面とパスのスプラインを子オブジェクトにします.幹の下から上までが同じ半径のままですので,上にいくにつれ少しずつ半径を小さくしていきます.スイープを選択して,
「終了端のスケール」…「30%」
にします.

スイープの終了端のスケールを小さくする

ヤシの木の葉の作成

平面と膨張デフォーマで葉の輪郭を作成する

次は葉を作成します.ここではポリゴンモデリングとデフォーマを活用してみましょう.まずはプリミティブオブジェクトから「平面」を作成します.パラメータを
「幅」…「10㎝」
「高さ」…「100㎝」
「幅方向の分割数」…「2」
「高さ方向の分割数」…「10」

とします.

平面を作成する

この平面をデフォーマで葉っぽい形状にします.デフォーマのサブパレットより「膨張」デフォーマを作成します.

膨張デフォーマを作成する

膨張デフォーマを選択し,
「R.P」…「-90°」
「サイズ」…「10cm,100㎝,1㎝」

として,膨張デフォーマのケージが丁度平面を囲うようにしておきます.「R.P」を-90°にすることで膨張する向きを調整しています.

膨張デフォーマの向き,サイズを調整する

膨張デフォーマを平面オブジェクトの子オブジェクトにして
「強度」…「200%」
に設定します.膨張デフォーマによって平面が膨らみました.

膨張デフォーマの強度を上げる

この平面の状態をポリゴンオブジェクトに変換します.平面を選択して,オブジェクトマネージャのメニューから「オブジェクト」→「オブジェクトを一体化+消去」を実行します.するとプリミティブオブジェクトだった平面がポリゴンオブジェクトになり,膨張デフォーマが適用された形状になります.

平面を一体化+消去
平面をポリゴンオブジェクトに変換する

「現在の状態をオブジェクト化」と「オブジェクトを一体化」は似たような機能ですがそれぞれ少し性質が異なります.

「オブジェクトを一体化」は複数選択したオブジェクト(親階層の場合は子を含む)を一つのオブジェクトに一体化してポリゴン化します.こちらは元々選択していたオブジェクトが残り,コピーとして作成されます.

「現在の状態をオブジェクト化」は階層内のジェネレータやデフォーマをポリゴン化して複製し,元のオブジェクト階層も残ります.

ポリゴンオブジェクトに変換するとポイント,エッジ,ポリゴンの各モードを使って各エレメントを直接編集できるようになります.

「ポイント」モードにして,「ライブ選択」ツールをオンにしたら,葉の先端部部(マイナスZ方向側とする)の3つのポイントを選択します.ライブ選択ツールはマウスでドラッグしてなぞるようにしてエレメントを選択できるツールです.サークル内のエレメントが選択されます.またサークルサイズは属性マネージャで「半径」を調整するか,エディタ上でShiftキーを押しながら中ボタンドラッグで調整できます.サークルサイズは適宜調整してください.

ポイントモードで葉の先端3つのポイントを選択する
ライブ選択ツールのサークル半径

3つのポイントを選択したら,エディタ上で右クリックしてコンテキストメニューを表示させ,「結合」コマンドを実行します.結合コマンドは選択したポイントを一つに結合するコマンドです.どの位置で結合するかはマウスカーソルの位置に応じて,選択したいずれかのポイントの位置または選択した中央の位置が白いポイントでハイライトされます.ここでは中心のポイントで結合させます.

3つのポイントを結合する

次は葉の切れ込み入れてみます.「上面」ビューにして,葉のアウトライン上にある切れ込みを入れたいポイントをいくつか選択しておきます.選択出来たら,右クリックメニューから「ベベル」を選択します.

切れ込みを入れたい箇所のポイントを選択する

ベベルツールを選択したら,エディタ上を左ドラッグするか,属性マネージャでパラメータを設定して「適用」をクリックするとベベルが適用されます.今回は
「オフセット」…「5㎝」
を適用しました.

ベベルを適用した上たい

ポリゴンモードにしてベベルで生成された部分を選択して「Delete」または「Backspace」キーを押して削除します.

ベベルで出来たポリゴンを削除

屈曲デフォーマ重ね掛けで葉を曲げる

続いて葉全体をデフォーマで曲げていきます.屈曲デフォーマを作成し,葉の子オブジェクトにします.屈曲の「座標」を
「P.X」…「15㎝」
「R.B」…「90°」

「オブジェクト」タブの
「サイズ」…「1㎝,30㎝,100㎝」

とします.すると次のような位置関係になります.

屈曲デフォーマを半分だけ覆うように配置

この状態で「強度」を上げても半分しか変形しないのですが,
「モード」…「無制限」
にすることで,ケージの外側にまでデフォーマの効果を及ぶようになります.つまり反対側も屈曲の影響を受けるようになります.中心から反対側も同じように曲げたい時は活用できる使い方です.

モードを無制限にして反対側にも効果が出るようにする

そしてもう一つ,新しく屈曲デフォーマを作成し,「座標」を
「R.H」…「-90°」
「R.B」…「90°」

「オブジェクト」の
「サイズ」…「10cm,100㎝,30㎝」

としておきます.ちょうど先ほどの屈曲で曲げた形状を覆うように配置します.追加したデフォーマを平面の2番目の子オブジェクトにして,「強度」をあげると1番目の屈曲の結果から曲げることができます.

二つ目の屈曲デフォーマを作成する
デフォーマは上から下にかけて順に効果がかかる

これで葉が一枚できました.いくつかのバリエーションを作成してもよいですが,今回はこの一枚を使いまわしていくことにあします.平面の名前を「葉」として分かりやすくしておきます.

葉のオブジェクトを配置しやすいように軸の位置をかえる

今の葉は軸位置が自身の中央にあるので複製して配置するにしても少し扱いにくいですので,軸の位置を葉の根本あたりに移動していきましょう.軸とはオブジェクトが持っている中心でローカル軸とも言います.ローカル軸の位置や角度を編集したい時は「軸を有効」モードをオンにします.

ローカル軸位置を変更したい
軸を有効モードをオンにする

軸を有効モードをオンにして,モデルモードもオンにします.葉(ローカル軸位置を編集したいオブジェクト)を選択して,移動ツールでZ方向(葉の根本あたり)にギズモを移動させていきます.これで軸位置が変わったことになります.軸位置を移動させたら,必ず軸を有効モードをオフにしておきましょう.これで葉のオブジェクトは軸位置が根元にあるので,移動や回転,スケールさせる時にもこの軸位置が基準となります.

軸位置を変更したら軸を有効モードはオフにしておくこと
軸位置を変えたことで基準が変わる

エディタ上にデフォーマが表示されていると邪魔なので,非表示にしておきましょう.

葉をクローナーで複製し,エフェクタで調整する

葉の配置はインスタンス化して複製して配置させたり,色々な方法がありますが,今回はクローナーとエフェクタで調整してきます.クローナーを作成して,葉を子オブジェクトにします.クローナーのパラメータを
「モード」…「放射」
「複製数」…「16」
「半径」…「0㎝」

としておきます.

葉をクローナーで放射状に複製する

クローナーを選択して,「トランスフォーム」タブを開き,位置,スケールを少し調整しておきます.これで幹の上あたりに来るかともいます.
「P.Y」…「100㎝」
「S.X,S.Y,S.Z」…「0.8」
位置に関して言うとクローナー自体の位置を変更しても構いません.

クローンの位置とスケールを調整する

葉の並びが均一なので,ランダムエフェクタでばらつきを出しておきます.クローナーを選択した状態で,「ランダム」エフェクタを作成します.この時点で葉の位置がバラバラになりますので,パラメータを調整します.
「位置」…「オン」
「P.X」…「0㎝」
「P.Y」…「5㎝」
「P.Z」…「0㎝」
「角度」…「オン」
「R.H」…「-150°」
「R.P」…「-30°」
「R.B」…「0°」
「スケール」…「オン」
「均等スケール」…「オン」
「スケール」…「-0.15」

これである程度葉の高さ,角度,スケールがランダムになりました.葉が重なっているところがあったりしますが,これは初めての方向けのチュートリアルなのでここまででも十分でしょう.

ランダムエフェクタでばらつきをつくる

葉に厚みをつける

葉に少し厚みを付けてさらに分割数を上げて滑らかな形状にします.「厚み付け」ジェネレータを作成し,葉を子にします.または葉オブジェクトを選択した状態でAltキーを押しながら「厚み付け」を作成します.Altキーを押したまま新規オブジェクトを作成した場合,選択中のオブジェクトが自動的に子になります.

ジオメトリモディファイアから「厚み付け」と「細分化」を屈曲2の下側に配置する

「厚み付け」を選択し,属性マネージャで
「厚み」…「2.5㎝」
とします.

「厚み付け」と「細分化」の設定

「SDS」(サブディビジョンサーフェイス)で滑らかにする

厚み付けを選択し,Altキーを押しながら「SDS」を作成します.厚み付けした状態に対してSDSを効果がかかります.

SDSを追加する

SDSの分割数でエディタとレンダリング時の分割数を個別に指定できます.高い数値はより分割が細かくなりエディタ,レンダリングともに負荷が高くなります.上げすぎには注意しましょう.今回はデフォルトの「2」にしておきます.

SDSでなめらかにする

グループ化する

パーツが出来上がたらヌルオブジェクトを作成してグループ化しておきます.名前を「木」などとして分かりやすくしておきましょう.

グループ化して名前を付ける癖をつける

作って覚える第2回はヤシの木のモデリングで,以上となります.第3回は地面と木にマテリアルを設定していく作業となります.

今回までの完成データはこちら

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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