Part.5ではここまで作成したシーンにさらにMoGraphの機能でテキストのアニメーションを追加していきます.
動画版の全工程
作業を開始する前にCarと地面全体グループを非表示にしておきます.
テキストアイコンからサブパレットを開き,「Text」オブジェクトを作成します.こちらは最初からテキストが押し出された状態で作成されます.また,この「Text」はMoGraphの機能を最初から持っています.
Textのパラメータを変更していきます.
「押し出し」…「3㎝」
「テキストスプライン」…「Welcome!」
「フォント」…「任意」
「行そろえ」…「中央」
「行の高さ」…「20㎝」
としておきます.
「キャップ」タブを開いて
「サイズ」…「0.3㎝」
とします.ここではキャップに関する設定が出来ます.キャップとは文字の表と裏の表面のことです.サイズを上げることで角を少し丸くしています.
マテリアルを作成する
Redshift標準マテリアルを2つ作成し,ベースカラーのみ変更したものを用意します.
テキストのキャップと押出部のマテリアルを貼り分ける
テキストオブジェクトには選択範囲がはじめから用意されています.これを使うことで各部位ごとにマテリアルを貼り分けることができるので,キャップと押出部で異なるマテリアルを適用していきます.
Textオブジェクトを選択して「選択範囲」タブを開き,
「押出部」…「オン」
にします.するとオブジェクトに「選択範囲」タグが作成されます.
それではキャップ側のマテリアルをTextオブジェクトに先に割り当てておきます.
もう一つのマテリアルをTextオブジェクトに割り当てます.すると2つ目のマテリアルですべて上書きされますが,二つ目の「マテリアルタグ」を選択して,「選択範囲」に先ほど作成した「選択範囲」タグをドラッグ&ドロップすると,押出部にのみ二つ目のマテリアルを設定することができます.
このように,マテリアルを複数部分的に割り当てたいときは選択範囲タグを使用することが多々あります.しかし注意点もあります.
マテリアルタグは左にあるものから順に計算される仕組みになっていますので,もし選択範囲を指定していないマテリアルが右側にある場合は,すべてそのマテリアルで上書きされてしまいます.
複数マテリアルを使う場合はこの仕組みを理解してマテリアルタグの並びにも気を使う必要があります.
※タグの順番はドラッグ&ドロップで入れ替えたり他のオブジェクトに移動させたりできます.
マテリアルタグは左から順に計算される
これでマテリアルの貼り分けは完了です.
MoGraphでテキストアニメーションを作成する
MoGraphの機能を使って簡単なテキストアニメーションを作成しましょう.
「Text」オブジェクトは内部にMoGraphの機能を含んでおり,最初からクローンの状態になっています.したがってTextオブジェクトにエフェクタを適用してすぐにアニメーションを作成することができます.
作成するテキストアニメーションは,40フレーム目あたりからWelcome!の文字が地面あたりから少しずつ大きくなりながら出現させるものになります.
Textオブジェクトを選択した状態で,「簡易」エフェクタを作成します.
簡易エフェクタのパラメータを
「位置」…「オン」
「P.Y」…「50㎝」
「角度」…「オン」
「R.H」…「180°」
「スケール」…「オン」
「均等スケール」…「オン」
「スケール」…「-1」
とします.これによりスケールを-1にしたことで一旦テキストはすべて非表示になります.
簡易エフェクタの「フィールド」タブを開き,「線形フィールド」アンコンをクリックして線形フィールドを作成します.
線形フィールドは任意の方向に対してエフェクタの効果をかけたい場合に利用できるフィールドです.エディタ上では矢印が表示されますが,矢印より先の領域はエフェクタの効果がかかります.逆にあるラインから向こう側は効果がかかりません.ラインとラインの間は緩やかに効果がかかっている状態です.
線形フィールドをX方向に移動させるとエフェクタの効果をかけたり消したりできます.テキストのアニメーションではありますが,それをコントロールするのは線形フィールドになります.線形フィールドで効果をかけた状態から徐々に効果を消していきます.
では線形フィールド自体にキーを記録していきます.
タイムラインを「40」フレームに合わせておきます.
線形フィールドの座標を
「P.X」…「-150㎝」
としてキーを記録します.
タイムラインを「70」フレームに移動させて,
「P.X」…「200㎝」
でキーを記録します.
アニメーションを再生させると線形フィールドが移動することによって簡易エフェクタの効果の領域が変化し,徐々にエフェクタの効果が消えていくことでテキストが表示されていきます.このようにアニメーションを作る場合でもエフェクタとフィールドのコントロールが重要となってきます.
少しテキストのアニメーションが硬いのでもうひと手間かけておきましょう.簡易エフェクタを選択し,「フィールド」タブを開き,「ディレイ」モディファイヤを作成します.フィールドレイヤリストにディレイが追加されます.
フィールドはレイヤ型でスタックして効果をより複雑にコントロールすることができます.追加したディレイは線形フィールドのように3Dオブジェクトではなく,単にレイヤとして追加されます.ディレイは線形フィールドによってアニメーション結果を元にモーションをスムーズにしたり,スプリングのような跳ね返り効果を出すことができます.ディレイレイヤーを選択し,
「モード」…「スプリング」
「強度」…「10%」
とします.
また,フィールドの
「クランプ」…「オフ」
にしておいた方がよいでしょう.気づきにくい場所にあります!
クランプがオンの場合は簡易エフェクタの設定したパラメータ効果以上,以下の値がフィールドによって出力された場合にカットされます.ただ,ディレイのスプリングのようにエフェクタパラメータの数値以上,以下の値が出力されるような場合はオフにしておきます.
テキストグループ用のヌルを作成し,Textとエフェクタ,フィールドを子にします.名前をText Animationとします.そして,そのヌルの座標タブを開き
「P.X」…「30㎝」
「P.Y」…「540㎝」
「P.Z」…「40㎝」
として,テキスト全体を移動させます.
以上の設定でこのようなアニメーションを作ることができました.