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つくって覚える第3回 クロスシミュレーションで浮き輪づくり Part.1 (2025年5月改訂版)

このチュートリアルではクロスシミュレーションを用いた浮き輪の作成とコーティクスの表現について紹介します.

使用するバージョン
Cinema 4D 2025.2
Redshift 2025.4

完成アニメーションはこちらです.使用する主な機能は
浮き輪作成パート:クロスシミュレーション
浮き輪を水面に揺らす:コンストレイント
ライティング&レンダリング:コースティクス

になっています.

完成アニメーション
目次

プロジェクト設定

それでは,今回も新規プロジェクトを作るところから始めます.Cinema 4Dを起動して,「新規プロジェクト」をつくります.「プロジェクト設定」(Ctrl + D)を開き,
「プロジェクトスケール」…「cm: センチメートル」
にしておきます.

「プロジェクトスケール」は「cm」
「プロジェクトスケール」は「cm」

「編集」メニュー→「一般設定「(Ctrl + E)を開き,
「単位」セクションを開いて
「単位」…「cm」
にしておきます.

「単位」も「cm」
「単位」も「cm」

浮き輪の下準備

クロスシミュレーションを使って浮き輪の皺のディテールも作ることにします.作成方法はたくさんありますが,今回はスプラインを使って作っていくことにします.長方形スプラインのアイコンを長押しして,
「円形」スプラインを二つシーンに追加します.

円形スプラインを追加する

一方の円形スプラインを選択し,「オブジェクト」タブを開き
「半径」…「150㎝」
「平面」…「XZ」
「補間」…「細分化」

とします.実際の浮き輪より少し大きめです.サイズを変えて進めてもらっても大丈夫ですが,その場合は後でクロスシミュレーションを行う際のパラメータが違ってくるので注意してください.
補間を細分化にすることで,より滑らかなカーブのスプラインになります.

スプラインの設定

もう一つの円形スプラインは
「半径」…「50㎝」
「平面」…「XZ」
「補間」…「細分化」

とします.これでシーンには二つの円形スプラインが次のように配置されていますので,それぞれのスプラインにはわかりやすい名前をつけておきます. 名前はオブジェクトマネージャでオブジェクトをダブルクリックして変更できます.

分かりやすい名前をつける

スプラインを一体化して押し出す

別々のスプラインを一つのスプラインにするために,「一体化」オブジェクトをシーンに追加して,ふたつのスプラインを子にします.一体化はSDSアイコンを長押ししてサブパレットから追加します.

一体化オブジェクト
スプラインを一体化する

一体化は分かれているオブジェクトを一つにしたり,分かれている頂点を結合してひとつにしたりできるジェネレータです.この場合,一体化は一つのスプラインとして振舞います.

SDSアイコンを長押しして「押し出し」を追加します.押し出しはスプラインを押し出すためのジェネレータです.一体化を子にすると,ドーナツ状に押し出し形状を作ることができます.一体化が結合されたスプラインになっているため,押し出しの効果を得ることができます.

押し出しをシーンに追加する

押し出しを選択し,「オブジェクト」タブを開き
「オフセット」…「1㎝」
にして薄い形状を作ります.二つのスプラインを一体化しているので穴の開いたドーナツ状になります.

一体化したスプラインを押し出す

浮き輪はクロスシミュレーション機能を使って作成するのですが,クロスをつかってやわらかい形状を表現するためは適したポリゴン分割が必要になるので,さらにボリュームビルダーとボリュームメッシャーを使います.

シーンに「ボリュームビルダー」オブジェクトを追加して,押し出しを子にします.

ボリュームビルダーを追加する

ボリュームビルダーは子オブジェクト(またはボリュームリストに追加した別階層のオブジェクト)からボクセルを生成する機能です.

ボクセルとは

2次元画像の最小単位がピクセルであるのと同様に3次元の最小単位をボクセルと呼びます.ボクセルサイズが大きいと解像度が低い画像と同様に荒くなり,小さいと高解像度の画像のようになる,という認識でひとまず大丈夫かと思います.

ボリュームビルダーでボクセル化する

ボリュームビルダーを選択し,「オブジェクト」タブを開くとリストに押し出しがあることが分かります.ボリュームビルダーの子にすると自動的にこのリストに追加されますが,もし別の階層にあるオブジェクトをボリューム化したい場合にはここにドラッグ&ドロップして追加することもできます.

「ボクセルサイズ」…「0.3㎝」
にすると,より密度の高い(高解像度)のボクセルになりますが,小さい値ほどメモリ負荷が大きくなり,計算に時間がかかります.また,あまりにも小さい値を設定してしまうとメモリ負荷が高すぎて警告がでますし,フリーズの原因となるので注意してください.

ボクセルサイズを小さくする

次にこのボクセルをメッシュに変換するための「ボリュームメッシュ化」をシーンに追加します.

ボリュームメッシュ化を追加する

ボリュームビルダーをボリュームメッシュ化の子にするとボクセルをメッシュに変換してくれます.

ただ,このままだとポリゴン数が多すぎます.エディタメニューの「表示」→「グーローシェーディング(線)」(ショートカットN~B)で確認すると多すぎてオブジェクトが真っ黒に見えるほどです.

ポリゴン数が多すぎる

そこで,ボリュームメッシュ化を選択し「オブジェクト」タブを開いて
「アダプティブ」…「0.1%」
に上げると,形状の変化が少ない平坦な場所のポリゴン数を調整してくれます.

ボリュームメッシュ化でポリゴン化する

ここからさらにクロス用のメッシュを作るためにリメッシュを行いますが,その前にメッシュの位置を調整します.
ボリュームメッシュ化を選択して,「座標」タブを開き
「P.Y」…「0.5㎝」
とすることで,押し出し量の半分ほどY方向に移動させて高さの中央がY=0にきます.これは次のリメッシュで対称メッシュを作成するために必要な作業です.

Y方向に0.5㎝オフセットさせる

シーンに「リメッシュ」オブジェクトを追加してボリュームメッシュ化を子にするとリメッシュ処理が開始され,先ほどのメッシュ状態からさらに密度が均等なポリゴンに調整してくれます.

リメッシュを追加する

リメッシュの設定を変更します.リメッシュの「オブジェクト」タブを開き
「メッシュ密度」…「70%」
「順応性」…「0%」
「対称 Y」…「オン」

とします.

リメッシュの設定を変更する

メッシュ密度はクロスシミュレーションの際に処理が重くなりすぎないように調整していきます.

順応性について

0%にするとポリゴンサイズが均一になります.今回はクロスシミュレーションさせるため,ポリゴンサイズはなるべく均等になっているほうが望ましいですが,そうでない場合で例えばもっと複雑でディテールのあるハイポリメッシュをリメッシュした際には順応性を上げることで密度の高い箇所はポリゴンサイズが小さくしてディテールを損なうことなくリメッシュさせることができます.
次の画像では順応性50%の場合,複雑な箇所はなるべくポリゴンサイズを細かくしてディテールを保とうとしています.

対称Yを有効にすると,リメッシュの位置を起点にして対称なポリゴンとしてリメッシュされます.ボリュームメッシュ化をY方向に0.5㎝移動させた理由はこのような形状にしたかったためです.

メッシュがY方向に対称にリメッシュされる

これでクロスシミュレーションの準備ができました!次の工程に行く前に,リメッシュの名前は「浮き輪」としてわかりやすくしておきます.

名前は常に分かりやすく

次はこのメッシュをクロスシミュレーションで浮き輪の形状にしていきます.

ここまでのデータのダウンロード

つくって覚える第3回 クロスシミュレーションで浮き輪づくり Part.2 へ

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この記事を書いた人

Cinema 4Dを使用したCG制作を行うフリーランサー.
MAXON認定 Cinema 4D マスタートレーナー

自身の経験を元に後進のために当サイトを開設し運営中.
制作業務のほか,Cinema 4Dの個別トレーニング,企業向けトレーニング,メンターサポートなども行っています.

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